2018/08/16

投資調査:マネックス:コインチェックの業績寄与について考えてみる①

前回、マネックスの業績やバリュエーションに関して考察した際は、クリプト事業の業績貢献を考えませんでした。

でもやはりクリプト事業がマネックスの業績の将来において重要なので、あらためてその業績寄与のポテンシャルについて、無謀にも考えてみたいと思います。


ただテーマとしては簡単ではなく、私も勉強しながらという感じになるので、何回かに分けて書いていこうと思います。

この記事のポイント


  • 事業モデルは販売所、取引所、付随業務の3つ
  • 販売所は業者がリスクをとる代わりに、利幅も大きく、一番美味しい事業(少なくとも以前はそうだった)
  • かつては「始めたばかりのエントリー層にビットコインを販売所で売買させる」、「ビットコインを餌に集めた人に、アルトコインを売買させる」ということをしていれば業者は簡単に稼げたと思われる。
  • そのバラ色の時代も終わり、今後は業者同士が生き残りをかけた消耗戦に突入すると思われる。



*重要な事項
当サイトはあくまで個人の見解で情報提供を意図しており、サイトの閲覧者に銘柄への投資を推奨しているものではありません。また、掲載情報が誤っているかまたは古い可能性もあります。


基本の事業モデル:販売所、取引所、付随業務

そもそも仮想通貨市場自体の先行きが予想しにくく、その上にこの考察も乗っかっているため、最終的にはどうなるかわからない、という点はご了承ください。


まず基本の事業モデルに関して整理したいと思います。
事業の形式としては大きく分けると、販売所と取引所があります。またそれに付随する収益機会もあります。

販売所:業者(例:コインチェック)自身が保有している仮想通貨を顧客相手に売買する空港の両替商のように、買値と売値に差(スプレッド)があり、それが業者の収益となります。業者がポジションのリスクをとっている分、一般的に取引所よりレートが不利です。裏を返せば業者にとって美味しい事業です。

取引所:業者は顧客同士の売買の場を提供する。そこで成立した金額の一部を手数料として得ることで業者の収益となります。コインチェック等、手数料を無料にしているところもあります。FXのようにレバレッジをきかせた取引もできます。

付随業務:上記のサービスを提供する上での付随業務も収益源となります。レバレッジの手数料(スワップポイント)や送金手数料等がこれにあたります。

ざっと見た感じ、ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)は基本的に販売所形式が多い印象です。bitFlyerのインターフェースをみますと、ビットコイン取引所があるのに対し、アルトコインは販売所のみです。


bitFlyerのデモ画面



業者は販売所へ誘導したい


販売所のレートのスプレッドは大きく、業者の利幅が大きいと推定されます。コインチェックはビットコインの取引は手数料無料にしつつ、その流れで顧客に対しアルトコインの売買を行うことで莫大な収益を挙げていたと推測します。

bitFlyerはビットコイン取引所でも手数料を徴収しています。ただ手数料無料の競合(コインチェックやSBI)が出てくることを考慮すると手数料は今後下がっていくと考えられます。

但し、売買代金もそれなりの額があるので、スワップポイントもそれなりに収益に貢献していると思われます。

ただ、こうしてみると仮想通貨事業の一番美味しいところは


  • 販売所で法外なスプレッドでアルトコインを売買する
  • 販売所で法外なスプレッドでビットコインをエントリー層相手に売買する

と考えられ、それも終了しつつある感じがあります。今後は業者同士の消耗戦になると考えられます。

ちなみに、スマホからアカウントを作成すると自然と販売所でトレードする方向に誘導されるので、仮想通貨が盛り上がった際に参入した人たちの多くは販売所で購入したと想像します。

以上の点を踏まえて、今度はマネックス買収後のコインチェックの業績を見ていきたいと思います。


*重要な事項
当サイトはあくまで個人の見解で情報提供を意図しており、サイトの閲覧者に銘柄への投資を推奨しているものではありません。また、掲載情報が誤っているかまたは古い可能性もあります。当サイトの情報を利用することで発生したいかなる事故・損害に対しても当サイトは一切その責任を負いません。
投資は元本が減少するリスクがあります。上記の株への投資を含む、投資の決定はくれぐれも自己責任でお願いします。