2018/08/07

投資調査:ソフトバンク:「ディスカウント」の理由を考えたい

株の中には理論的な価値より低い価格で値付けされていることがあり、その状態を(理論価格より)ディスカウントされていると呼びます。

そのわかりやすい例としてソフトバンクがあります。

ソフトバンクの孫さん曰く

「ソフトバンクの一株あたりの株主価値は、一株あたりの価格より高い。 だからソフトバンクは買いだ 」





とおっしゃいます。ソフトバンクのIRページにいくと下記のようなわかりやすい指標があります。




8/6ベースで、株価9232円に対して、一株あたりの株主価値は12630円です(ソフトバンク通信事業を考慮しないベース)。1万円程度を出せば、「1万2千円+ソフトバンク通信事業」が入っているお財布が買えるというロジックで、孫さんは安いと言っています。

ちなみに保有資産別の価値は以下の通りです(6月のソフトバンク株主総会資料より。上記とは資産の市場価値の変動により数値が合いません)





確かに・・・と思う一方で、上記はプロの投資家なら少し考えればわかることです。それでも保有資産以下の評価(つまりディスカウントが付与されている)が市場でされているには理由があるはずです。

その理由は複数あるとは思いますが、うみがめとしては、「保有資産が将来的にどの程度、株主に還元されるかが不透明」というのが気になります。結局ソフトバンクが保有しているアリババ株が何兆円の価値があってもそれを成長投資に回すか・現金化して配当にしないと株主は恩恵を受けません。

例えばARMは正当化できる例です。アリババ株の一部を売ってARMを買ったので、成長投資に回したわけです。買収後に株価は乱高下しましたが、直接的な株主の利益はARMの利益水準を考えるとインパクトは大きくないです。ちなみにかなりのプレミアムを払って買収しているので、ARMが想定したグロースやシナジーを生まない場合は、長期では企業価値にはマイナスです。

今後もアリババのように保有資産の値上がりが起こると思いますが、孫さんは基本的にはARMのように、再投資に回すのでは、というのがうみがめの印象です。

孫さんは、PEファンドの配当みたいに投資利益を何年かに一度株主に還元する、という選択肢はとらないのではないでしょうか。なぜなら孫さんは目先の数年の株主利益に興味なくて、100年単位の社会の変化とそれを前提とした投資戦略に楽しみを見出しているから、というのがうみがめのざっくりとした印象です。


その場合ソフトバンクの株主への恩恵は、例えばウーバーなら、ウーバーの利益×ソフトバンクの取り分×ソフトバンクの配当性向です。なのでウーバーの時価総額×ソフトバンクの持分、は株主にはそれほど関係ないのです。債権者には関係あるでしょう。ウーバーのPERはものすごい高いでしょうから、上記の図表みたいな計算方法でやると、ソフトバンクの株主への価値を考えた場合、当然ディスカウントが生じるわけです。

それでもいつかは持分法利益が積み上がり、ソフトバンクが今よりも莫大な配当を出し続けるステージはきっとくると思います。もしくはある日急に配当を増額する年がくるかもしれません。その前提で長期保有するのはありだと思います。
前者のケースはディスカウントは継続(むしろ拡大)するわけですし、後者は現状ではタイミングや、そもそも実施されるかは霧の中です。
 
なので、ディスカウントの要因を考えず、「ソフトバンクの一株あたりの株主価値は、一株あたりの株価より高い。 だからソフトバンクは買いだ 」というのは少し親切ではないと考えます。

現状ところ、時価1万円のお財布に10万円の現金が入っていても、その内毎年500円程度しか購入者(株主)はもらえない、ソフトバンクはそんなお財布なんです。

ちなみにうみがめは孫さんがとても好きですし、ソフトバンクはとても好きな企業の1つです。


*重要な事項
上記はあくまで個人の見解で情報提供を意図しており、ブログの閲覧者に上記銘柄への投資を推奨しているものではありません。投資は元本が減少するリスクがあります。上記の株への投資を含む、投資の決定はくれぐれも自己責任でお願いします。