2018/03/07

うみがめのつぶやき:誰も考えない「シンギュラリティが起こらない」というリスク

前にも書きましたがPaypalの創業者のPeter Thielは、Contrarianとも呼ばれる「コンセンサスとは違う意見」を唱えるのが得意です(前回記事)。

例えば彼は、シンギュラリティによる弊害を心配する人がたくさんいる一方で、その技術進化が起こらないと懸念する人は非常に少ない、という点がリスクだと指摘しています。




漠然とした「技術革新は起こる」という考えに対するリスク

例としては、A.I.やロボットの進化により人間が駆逐される、というターミネーターの様な世界を懸念する人はいたりします。一方でそこまでの技術進化が訪れないのではないかと考える人は少ない、ということです。皆、なんとなく数十年先には実現するだろう、と思っているわけです。

実現しなかったからといって何か困るのか?Peterは先進国はそのような技術革新なくして人々の生活水準の発展はないとしています。

例えば直近の人々の暮らしの変化としてはソーシャルメディアの発達がありますが、Twitterでいつでも自分の考えを投稿できるようになっても生活水準は上がりません。もっと生産性を大幅にあげるような根本的な技術革新が必要で、社会の意識をそこに集中すべきなのに、人々は「やがて技術革新は訪れる」と漠然と考えている点に、リスクがあるとしています。




投資はコンセンサスを先回りする少し話は飛びますが、投資においてはコンセンサスに惑わされない投資行動を行う必要があり、その点でThielのような視点は非常に参考になります。一方で美人コンテストのような側面もあり、皆がいいと思うものでないと投資したものの資産価値は上がりません。つまり「コンセンサスを先回りする」という観点が重要です

コンセンサスを先回りする方法

コンセンサスを先回りする方法は2つあると考えています。1つは知識や情報で優位に立つ事です。ある分野で深い知識を持つことでコンセンサスを否定できます。また情報が周知される前からつかんでいれば当然コンセンサスより先んじることができます(インサイダーにならない範囲で)。

2つ目は時間軸を変える事で、個人投資家はよりこちらで勝負すべきだと思っています。バフェットやピータリンチのように、「良いものを適正価格以下で買って、価値が上がるまで待つ」ということです。機関投資家は四半期や場合によってはそれよりも短い期間でパフォーマンスが測られるのが常ですし、5年先の成長性を織り込んで買うことはなかなかできません。でも5年でくるテーマってありますよね?別の言い方をすれば、5年後によりコンセンサスに織り込まれる事象を探すということになります。もちろん冒頭のPeter曰く起こらない・予想以上に時間がかかるリスクもありますが。